内容証明郵便の書き方、作成方法から3つの送付手段までを解説

内容証明郵便は、一般書留郵便の文書内容を郵便局(日本郵便)が証明するサービスです。内容証明郵便については馴染みのない方も多いかもしれませんが、実は内容証明郵便は、一般の方や法律の専門家である弁護士や行政書士等の士業、その他にも料金滞納者へ支払督促を行う民間企業、債権回収を主な業務として取り扱う債権回収会社(サービサー)に至るまで、幅広く活用されています。
ここでは、内容証明をまだ使ったことがない一般の方にも分かるように、内容証明郵便で用いる文書の書き方について、概要をご説明します。
また後半では、ビジネスで内容証明郵便を取り扱う頻度が高い方にお勧めの内容証明の送付手段についても解説します。

まずは内容証明郵便を知るところから始めよう

そもそも内容証明郵便とは

まずは、内容証明郵便を知ることから始めましょう。
内容証明郵便とは、「誰から誰宛てに、どのような内容の文書を送ったのか」を郵便局(日本郵便)が証明してくれる郵便サービスのことをいいます。
内容証明郵便は、郵便局で手続きをすれば、個人でも送ることができます。
具体的に郵便局(日本郵便)が証明する内容は、誰から誰に対し・送付した年月日・送付した内容・送付した事実です。気をつけないといけないのは、送付先の相手に届いたことの証明は内容証明郵便だけでは行われないということを抑えておきましょう。
なお、郵便局での内容証明郵便の手続き時に配達証明を併せて依頼することで、「何月何日に相手に届いたのか」も郵便局が証明してくれます。

内容証明郵便を送った方がよいケース

内容証明郵便を出したことも受け取ったこともない方に向けて、どのような用途で内容証明郵便が使われているのかをご説明します。
内容証明郵便の一般的な用途のとして、契約解除やクーリング・オフの意思を相手に伝える手段として使われるケースがあります。契約解除を相手に伝えたのに、相手から「そのような意思は受け取っていない」と言われ、強引に契約の継続を迫られることを防ぐために、内容証明郵便が一般に使われています。
特にクーリング・オフは、法律で定める期間内に書面により契約解除の意思表示をする必要があります。書面の種類については、令和4年の特定商取引法の改正により、一般的なハガキや封書だけでなく、電子メール(電磁的記録)によりクーリング・オフを行うこともできるようになりました。ただし、確実な証拠を残すという意味で、現在でも内容証明郵便が使われるケースがあります。

内容証明郵便で法律効果を発生させる使い方

その他、より専門的な内容ですが、法律上の効果として、時効期間を延長する効力を認められるために内容証明郵便を利用するケースも見受けられます。
時効期間を延長することを、法律用語では「時効の完成猶予」と言います。時効の完成猶予とは、時効の消滅が成立する前に、内容証明郵便等を使って督促状を送る(催促をする)と、そのときから一定の期間は時効が消滅しないという法律効果が発生します。
例えば誰かにお金を貸した場合などは、消滅時効が完成されてお金を返してもらう権利(金銭債権)が消滅してしまうことを防ぐために、内容証明郵便を使うケースが多いようです。
また、債権譲渡を通知する手段として、内容証明郵便と配達証明郵便をセットで活用するケースもあり、法律の専門家である弁護士等の士業や債権回収会社(サービサー)などで活用されています。

内容証明郵便の書き方・作成方法

書き方・作成方法を習得

内容証明郵便は、ご自身で作成することもできますし、弁護士や行政書士等の法律専門家に作成を代行で依頼することもできます。
例えば弁護士に依頼すると、差出人の代理人として、弁護士名義で内容証明郵便を送ってもらうことができます。ご自身名義よりも弁護士名義の方が、相手にかかる心理的圧力がより大きくなり、問題解決が近づく可能性は高いでしょう。ただし当然ですが、弁護士等に依頼する際には報酬を支払う必要があります。
内容証明で送付する文書の性質や、ご自身で書き方をマスターして作成できるかどうかによって、自分で作成するか専門家に依頼するかの判断が必要でしょう。
ここでは、ご自身で作成される方に向けて一般的な書き方・作成のルールをご紹介します。

意外に細かい書き方・作成方法のルール

まず、内容証明郵便には、字数・行数等、郵便局(日本郵便)が定めた独自の書き方・作成方法のルールがありますので、それに準拠しましょう。詳細は郵便局のホームページに記載されていますが、ここでは概要を抑えておきましょう。
文書に記載できる文字数については、縦書きと横書きで制限が異なりますが、例えば縦書きの場合、1枚あたり520文字以内(1行あたり20字以内・行数は26行以内)という制限があります。
用紙の制限はなく専門の用紙が市販されていますが、一般的なA4用紙を使ってパソコンで作成することもできます。
また、文書以外の図面や資料等は同封できません。
実際に郵便局に内容証明郵便の手続きをする際には、相手に送る文書、郵便局が保管する謄本、差出人本人が保管する謄本の計3通が必要です。基本的には、相手に送る文書と完全に同じものを3通作成するように郵便局から案内されます。

ご自身に不利益も?内容証明郵便の注意点

ここまで、一般的な書き方や作成ルールをご紹介しましたが、内容証明郵便で文書を送付したこと自体がご自身の不利益になっては、元も子もありません。
感情的な言葉遣いや相手から脅迫と感じられる文書を送ってしまった場合、相手からの申し立てなどによって、ご自身の不利につながってしまう恐れもあります。
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、文書を作成する際は、ご自身のまわりの信頼できる方や身内の方などで、法律にも一定の理解があり、冷静に相談に乗っていただける方のアドバイスがあった方が望ましいと思います。まわりにそのような方がいない場合は、ご不安であれば、有料であっても、弁護士などの法律の専門家に作成依頼のご相談をすることもご検討ください。

ビジネス活用ならDX化を考えてみては

何通も送付するなら業務効率化が重要

一般の方であれば、内容証明郵便を一生に何度も送ることはないと想定されますが、弁護士や行政書士、民間企業の料金督促部門の方や債権回収会社(サービサー)など、ビジネスとして頻度高く内容証明郵便を扱う業種やお仕事の方は、業務効率化のためにもDX化を検討してみてはいかがでしょうか。
内容証明と言えば、今までご説明した内容証明郵便のように、紙での文書通知の手段しかないと思われている方が多いかと思いますが、インターネットを活用した、電子内容証明(e内容証明)というサービスも郵便局(日本郵便)から提供されています。インターネットで申込ができるため、郵便局まで手続きをしに行かなくて済むというメリットがあります。日中帯に郵便局に行くことが難しい方や、郵便局での待ち時間を軽減したい方にとっては試してみる価値がありそうです。

電子内容証明にデメリットを感じる方も

一見便利そうな電子内容証明(e内容証明)ですが、紙の文書を送付することに比べてデメリットを感じている方もいるようです。
通常の内容証明郵便では、文書の真実性を担保するという意味で、署名したり印鑑を押すことができますが、電子内容証明(e内容証明)では署名も押印もできません。
署名や印鑑は内容証明郵便の要件ではないので、それらがなくても問題はなく、文書が無効にもなりませんし、法的な効果に影響もありません。
しかし、文書の真実性を高めたり、文書を作成した本人の強い意思を示すという点において、署名や押印は役に立つ手段となるという理由から、署名や押印により文書の格式を上げ、心理的圧力を加えたいと思う方にとっては、デメリットと感じている方もいるのでしょう。

NTTグループがDX化をお手伝い

NTT東日本グループのNTTタウンページが提供するDigital Lead for DX「SMSソリューション」は、秘匿性の高い文書情報をリアルタイム性の高いショートメッセージ(SMS)で送信することに適したDX化をお手伝いするサービスです。
相手に到達する時間について、郵便の場合は相手に届くまで数日かかりますが、SMSソリューションは相手のスマートフォンや携帯電話にSMS送信しますので、ほぼリアルタイムに送信が完了します。
またSMSソリューションは、経済産業省および法務省から産業競争力強化法に基づく新事業活動計画の認定を受けた事業者によって提供される情報システムを利用したサービスであるため、内容証明郵便や未払い債権の回収に関わる督促状、受任通知などに関わる書面の配送をSMSで実施することができます。また、SMSに記載されたURLからリンクした文書はPDFファイルとして表示される仕様となっており、PDFに対応した電子印鑑を扱える弁護士などであれば、文書の格式を上げて問題解決に近付くのではないでしょうか。

まとめ

ここまで、内容証明の一般的な書き方のご紹介、さらに内容証明の3つの送付手段として、内容証明郵便(一般書留)、電子内容証明(e内容証明)、NTTタウンページのDXサービス(Digital Lead for DX SMSソリューション)を解説しました。
特にビジネスで内容証明を使われる方にとっては、公的にも保証されたDXサービスを活用した送付手段を用いることが業務効率化につながります。
企業がDX化を導入することは、担当者の業務稼働削減、さらには人材不足の課題に対する有望なソリューションと言えるでしょう。
この機会に、郵便局で手続きする手間や待ち時間の軽減、郵便料金の値上げへのコスト対策、環境に配慮した紙使用量削減として、内容証明のDX化を検討してみてはいかがでしょうか。

2024年8月執筆